公務員の給与はどう決まる?民間給与との比較や給与改定の仕組みを解説
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公務員の給与は、民間企業の給与水準を基準に法律や条例にもとづいて決められています。しかし民間とどう比較し、どのような手順で実際の給与へ反映されるのか、その仕組みは一見わかりにくいものです。
そこでこの記事では、給与決定の基本ルールから民間との比較方法、改定までの流れをわかりやすく解説します。公務員の給与体系や待遇が気になる方はぜひ参考にしてみてください。
公務員の給与はどうやって決めている?
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公務員の給与は、国家公務員なら法律、地方公務員なら条例で決まります。金額の基準になるのは、民間企業で働く人の給与水準です。ここでは、その法律と条例から順に見ていきましょう。
給与の額は法律と条例で決められる
国家公務員の給料は「一般職の職員の給与に関する法律(給与法)」で定められています。
給与の一覧表である俸給表も含まれるため、金額を変えるには国会で法律を改正しなければなりません。
地方公務員の場合、根拠になるのは条例です。地方公務員法第24条には「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」と示されています。
民間企業なら給与を決めるのは会社ですが、公務員の場合は国会や議会です。一人ひとりの金額を個別に交渉するのではなく、制度として全体が毎年見直されます。
出典:一般職の職員の給与に関する法律、地方公務員法|e-Gov 法令検索
社会の情勢に合わせて見直すルール
国家公務員法第28条の1項は、給与や勤務時間などの勤務条件を社会一般の情勢に適応するよう随時変更できると定めています。これが情勢適応の原則です。同じ条文で、その変更を勧告する役目が人事院に課されています。
人事院がこれを受けて基本に置くのが、民間企業の従業員と国家公務員の給与水準を揃える民間準拠という考え方です。
地方も考え方は同じで、地方公務員法第24条が、生計費や、国と他の自治体の職員、民間で働く人の給与などを考慮して定めると規定しています。
民間の給与とどうやって比べている?
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人事院が毎年調べているのは、国家公務員と民間で働く人、それぞれの4月分の給与です。このとき、役職や勤務地域、学歴、年齢という4つの条件を揃え、同じ立場の人同士で比べます。
では、具体的にどのような企業を対象に比較し、どれほどの給与差が出ているのでしょうか。対象企業の基準や詳しい比較のルールを見ていきましょう。
比較するのは企業規模100人以上の民間事業所
民間側の調査は職種別民間給与実態調査といいます。対象は企業規模100人以上、かつ事業所規模50人以上の事業所です。令和8年は約10,100事業所が調査を受けました。
比較方法には、次の3つの決まりがあります。
● 全体の平均同士ではなく、係長は係長、課長は課長と役職を揃える
● 勤務地域・学歴・年齢も揃え、グループごとに給与を突き合わせる
●民間給与の水準を算出する際は、国家公務員の人員構成を基準にして比較する「ラスパイレス方式」を用いる
国家公務員に民間と同じ水準を払ったときの総額と、実際の支給総額との差が官民較差です。調査と並行して、各府省や職員団体からの要望や意見の聴取、各地域での意見交換も行われます。
令和8年の官民較差は月15,056円
令和8年の調査結果は次のとおりです。
比較項目 | 民間 | 国 |
月例給 (1人当たり給与額) | 443,507円 | 428,451円 |
ボーナス (年間の支給月数) | 4.72月 | 4.65月 |
月例給の差は15,056円、率にすると3.51%になります。この差を埋めるように給与を改めるのが、勧告の基本的な考え方です。ボーナスは月例給とは別に比べ、直近1年間、つまり令和7年8月から令和8年7月までの実績をもとにしています。
出典:本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み|人事院
勧告が出てから給与に反映されるまでの流れは?
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勧告後、給与に反映されるまでにはある程度の時間がかかります。大枠の流れでは、勧告を受けた内閣が取り扱いを決定し、国会が給与法を改正して、はじめて給与に反映されます。ここでは、給与改定のスケジュールと令和8年に決定された金額を確かめていきましょう。
勧告から給与に反映されるまでのスケジュール
▼給与改定の年間スケジュール
時期 | 行われること | 担当 |
4月 | 民間・国家公務員の給与を調査 | 人事院 |
8月 | 国会と内閣へ勧告・報告(令和8年は8月7日) | 人事院 |
勧告後 | 勧告の取扱いを決定 | 内閣 |
決定後 | 給与法を改正 | 国会 |
改正後 | 4月にさかのぼって適用・差額を支給 | 各府省 |
人事院はあくまで勧告を行う機関のため、実際に給与を改定するには給与法の改正が欠かせません。令和7年の勧告は、同年11月11日の閣議で勧告どおり実施することが決まり、給与法の改正を経て4月にさかのぼって適用されました。
令和8年人事院勧告で示された内容
|
項目 |
勧告前 |
勧告後 |
|
初任給月額(一般職・大卒) |
232,000円 |
241,500円 |
|
初任給月額(一般職・高卒) |
200,300円 |
209,800円 |
|
ボーナス(年間支給月数) |
4.65月 |
4.70月 |
令和8年の勧告で、俸給は行政職俸給表(一)の平均で3.3%引き上げるよう示されています。初任給(月額)の引上げ幅は、大卒も高卒も一律9,500円です。ボーナスは年間4.65月から4.70月へ、0.05月分増加します。
給与法が改正された場合、俸給表の改定は令和8年4月1日にさかのぼって適用される見込みです。プラスの改定は令和4年から数えて5年連続になりました。
出典:令和8年 人事院勧告・報告の概要|人事院
地方公務員の給与はどう決まる?
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地方公務員の給与は、地方公務員法が定める4つの原則にもとづき、各自治体の条例で決まります。改定までの流れは人事委員会の有無によって異なるため、まずは基本となる4つのルールから順に見ていきましょう。
地方公務員法が定める給与決定の4原則
地方公務員の給与には、地方公務員法が定めた次の4つのルールがあります。
|
原則 |
内容 |
|
情勢適応の原則 |
給与や勤務時間などが社会一般の情勢に合うよう、随時適切な措置をとる |
|
職務給の原則 |
給与は、その仕事の内容と責任の重さに見合った額にする |
|
均衡の原則 |
国や他の自治体の職員、地域の民間企業の給与、生活にかかる費用などを踏まえて決める |
|
給与条例主義 |
給与は条例で定める |
地方公務員の給与はこれらの原則にもとづき、地域の民間企業や物価などの実態に合わせて条例で定められています。
人事委員会があるかどうかで流れが変わる
人事委員会が設置されている自治体と、設置されていない自治体があります。
原則 | 内容 |
都道府県・政令指定都市 | 人事委員会を必ず設置 |
人口15万以上の市・特別区 | 人事委員会または公平委員会を設置(任意) |
人口15万未満の市町村など | 公平委員会を設置 |
人事委員会がある自治体では、人事院勧告の内容とその自治体の民間調査の結果などを総合的に判断した上で、人事委員会が勧告を行います。
一方で人事委員会がない自治体は、都道府県の勧告などを受けて給与改定の方針を決めています。どちらの場合も、議会の議決によって給与条例が改正される仕組みです。
まとめ
公務員の給与は法律と条例で定められ、その基準になるのが民間企業の給与水準です。人事院は毎年、役職や年齢などの条件を揃えて民間と比較し、生じた差を埋めるように改定を勧告します。
改定内容の反映には、国家公務員なら国会による給与法の改正、地方公務員なら議会による条例の改正が必要です。
令和8年の勧告では初任給を一律9,500円引き上げるよう示され、プラスの改定は令和4年から5年続きました。
実際の金額や年齢ごとの年収は別の記事でまとめているので、あわせて確認してみてください。